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南町田グランベリーパークを見て来た

2020.03.20

今話題のショッピングセンター(以下、「SC」)を南町田まで見学に行った。最寄り駅が田園都市線の南町田グランベリーパーク駅という事で世田谷の自宅からかなり時間がかかるかと思ったが、案外早く用賀駅から30分程で到着。下車すると目の前に駅らしからぬ幅の広い大階段と小さなスヌーピーが出迎えてくれた。大階段は滝と植栽で人々の視線を引きつけ、SCのキャラクタースヌーピーはなんとも愛らしい。ここですでに利用者の心を掴んだように感じた。

改札を出るとステーションコートという通路と広場があり、もうSCの中に入った事が分かる。ここで巧妙なのはここから通路に角度を付けて本体のSCを見せなくしていた点。最初で驚かしながら少しだけじらす作戦なのか。さらに進むと橋のあるセントラルコートへ。まとまった施設の入口にはゲートや橋を付ける事で、特別な空間に入る高揚感を促している。駅の閉じられた空間に比べ橋は開放感が強く、気持ちの良い切り換え空間となっている。

正面の建物、ギャザリングマーケットに通路は当たり左右に路は分かれている。果たして左右どちら方向に人々が歩き出すか観察してみた。一般に人は左側を通行するので、やはり駅からはほとんど左に寄って歩いてくる。そうすれば左側から入り右廻りとなると予想したが、そうではなかった。SCに来る人々は駅に向かって帰る人と交差してバラバラになり、右側に進む人も多く、結果左右で同程度であった。時間毎に進行方向をきっちり調べると面白い結果が出てくるかも知れない。

私は右側から入ったが、通路の幅と2階の建物の高さの関係がバランス良く開放的な落ち着いた景観。利用者はまるで回遊魚の様にグルグルと動いている。所々にある広場は適切な広がりがあり、ベンチ、パラソルは休憩中の人々が一杯でみんな楽しそう。この廻遊路はまさに江戸時代に多く作られた大名庭園の仕組みそのままで、その上建物の2階部分も廻遊でき、まさに二重立体廻廊となっている。この構造では人々は見る側と見られる側の両方になり、楽しさも見つつ自分も出演者となる、日常では余り経験しない状況が生まれている。だからみんな程々のおしゃれを楽しんでおり、買ったり食べたりする以上の経験が得られるSCと言える。
ここでの楽しみはSCの外側にまだ多くあった。都市公園が隣接しているがそのメリットを上手く利用し、計画しているのが分かる。

SCを高い位置に設け公園をパノラマ的に俯瞰しているので全体が把握できる。公園の大きく育った樹木の雄大な自然感と、楽しさ一杯の人工的な空間との対比が今の消費者の気持ちを代弁している様である。公園までの斜面はエスカレーターを設け利便性を高め花壇で季節の潤いを演出している。公園は時間の経過によって形成された樹木が素晴らしく。それに寄り添ったかたちで施設が配置され、大型の遊具も突出して大きく見えない。大人の公園としても考えられており、ジョギング、ウォーキング路を設け利用者のカロリー消費など心配りが良く出来ている。大パノラマ的に見える公園に世代を越えた人々が集まり、楽しく豊かな都市生活を満喫している姿は本当に素晴らしい。この計画のディレクターが東京農業大学造園科学科准教授の福岡孝則氏である事はランドスケープアーキテクトとして誇らしい事である。

戸田 芳樹

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