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武漢と杭州で講演会をしました

2019.08.13

8月6日から10日まで武漢・杭州を訪れて現地の風景を眺め、講演会を行った。武漢は上海と重慶のちょうど中間にあり、人口1,000万人ほどのまだ発展中の大都市であった。
初日に名所を訪ねる事となり、長江に近い丘上の黃鶴楼に向かった。黄鶴楼は江南三大楼閣のひとつで、他に南昌の勝王閣、岳陽の岳陽楼があると聞き、早速上ってみる事に。武漢は中国三大竈と言われるほど猛暑で有名だが、丘の上に行くまでで力尽き、楼の上まで登れず眺めは想像に任せて満足した。

さて講演会は日本から小林治人さんも一緒で、私は1970年代からの東京におけるランドスケープの変遷を10年単位で追い、現在の都市には本物の自然が必要で、東京でもその方向に進んでいるとお話しした。
このシンポジウムは中苗会、日本で言えば植木協会の主催で全国から約700人の会員が集まり開催された。リーダー裴小军氏はまだ40歳の若さでこの会を立ち上げ、年々会員を増やしているカリスマ的な人物であった。途中、彼が長く話していたので通訳に聞くと「講演会を聞く会員の態度が良くない」と説教していたらしい。とにかく中国は元気だ。

翌日は杭州へ、西湖は3度目だがいつ行っても素晴らしい。今回は雨で遠くが見えなかったが、しっとりとした雰囲気でお寺の別室で雨音を聞きながらの昼食は最高であった。湖畔の中国庭園も湖との関係性を上手く使っており、大らかでその上細やかな風情は西湖独特のものであろう。
夜は100年も続くレストラン楼外楼での美食を楽しんだが、なんと言っても20年物の紹興酒の素晴らしさは言葉に出来ない程。舌で転がして飲むとはこういうことなのかと、一生ものの体験をさせていただいた。

翌日の講演会は台風の襲来で飛行機等交通が乱れ、300人の予定が200人の参加となり少々残念であった。主催から、1時から5時まで時間を取っているのでよろしくと、耳を疑う様なスケジュールにのけ反ってしまったが、ともかくやり遂げた。

中国での講演会で初めて日本庭園の事について話した。中国の人々の日本庭園は枯山水、ZENの庭が全てと思っているようなので、ランドスケープデザイン誌に掲載した内容で、4つの時代区分による庭園の話を始めた。桂離宮を事例として庭園の見所はどこにあるのか、空間構成やシークエンスの面白さとは何なのか等を話した。
最後にモダンなデザインに伝統的なデザインはどう継続させるべきか提案した。それは目に見える「かたち」だけを取り上げるのではなく、「かた」という日本の美意識の根源をすくい取る事だと具体的な事例を見せながら示した。これからの中国において古典庭園とモダンなデザインの関係性も同様に考えるべきではないかと力説しておいた。

色々と話しを詰めすぎた感もあり、どの程度理解していただけたかおぼつかないが、日本と中国が手を携えて古典から現代までの庭園デザインの系譜を語り合うべきだと締めくくった、長~い講演会であった。

戸田 芳樹

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