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新宿のデパート屋上庭園を見る-2

2018.08.01

そう言えばイングリッシュガーデンのブームも随分昔に去ったが、カリスマ園芸家の方々はどうしているのだろうか。元々園芸家は地味な職業だったはずなのに、メディアが大騒ぎするから、追っ掛けのおばさん達も登場する程にもなった。今は本物の人だけが残っているはずだ。

デパートの屋上に立つと私は庭園そのものよりも、屋上と地上の対比を否応なく考えてしまった。あえて比較すれば、上記(表1)のようなものなのか。

丸井の垂直に動くエレベーターを降りると水平に広がる空、大きな空間に投げ出されるのだが、かえって自分が小さくなったように感じるのは私だけなのか。地上部で感じた身体感覚とは違う何かがその様な意識に導く。この大きな空間と小さな自分との関係性はランドスケープデザインを考える上でヒントになるのではないかと思った。

次に竣工時、かなり話題になった伊勢丹の屋上に行く。ここの入口にあるルーバーのゲートがなかなかの見せ場。風景を切り取り、隙間からも見せる軽やかなディティールは日本独自の感性で、モダンなデザインにも適合する優れものである。そのゲートをくぐると極端に大味な空間と緻密な空間が目に入ってくる。イベント目的のたぶんビヤガーデンになる人工芝の大味な広場は昭和のイメージが濃厚で笑ってしまいそう。

緻密な空間はふたつあり大人用とこども用。当日は暑かったせいか日陰のベンチに腰掛ける人は長時間動かないし、当然だが大味な空間には誰も居ない。こども空間の幼児用遊具に群がるこども達は大勢で元気いっぱい。静と動の典型的な空間が同居する風景はデパートそのものと私は捉えた。

今回の屋上空間探偵で、なぜ人は高いところに行きたがるのか、自分を通して分かる様な気持ちになった。人々は地上の現実世界から空中の天国的空間を求め、尚且つひとりだけの空間も求めているのかもしれない。だから大きな芝生広場やデッキに私は少々違和感を持ってしまった。もっともビヤガーデンのシーズンではビールによる作用で人の存在は意味が大きく変わるかもしれないが。

戸田 芳樹

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