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黄檗山萬福寺を観賞する

2018.02.04

宇治から少し戻って黄檗へ。ここには黄檗山萬福寺という大きな寺院があり、以前より見学したいと思っていた名所である。禅宗の三宗、臨済宗、曹洞宗とならぶ黄檗宗は1661年中国の隠元によってもたらされた。萬福寺の伽藍建築はすべて明朝様式で、江戸時代の文化全般に影響を与え、今日でもそれらの片鱗は残っている。

黄檗駅より住宅地を通り5分ほど進むと、萬福寺の総門に至る。この門は、本場の壮麗さはないが中国情緒が溢れ、異空間に引き込まれる予感のする作りである。門を入ると正方形の飛石を45度曲げた園路が一直線に続き、寺院の持つ厳しさが深々と伝わってくる。右手に放生池を見ながら進み山門に立てば背後の山に向かって一直線に建物が配置されてるいるのが望まれる。地形に合わせて少しずつ高く、順に天王殿、大雄宝殿、法堂、威徳殿があり、山々と共に大景観を作り出している。各々の建物は屋根付きの廻廊で結ばれており、雨天時でも問題なく合理的であるし独特の雰囲気も醸し出している。明時代に伝来した建築伽藍の様式は現在の中国にはほとんど残って無く、絵図により確認するしかない。中国人がアイデンティティを確認するには萬福寺は誠に素晴らしく適任だが、外国人、団体の姿は見当たらなかった。細部に見られる「卍くずし」のデザインや「円窓」「黄檗天井」は中国人に熱いメッセージを送るであろうに残念だ。

この地は3辺を山で囲まれ、三門方向に景観軸が通っており、落ち着いた雰囲気を醸し出している。ともかく参拝客が少なく、私は寺域が持つ清浄な「気」に包まれ何かが覚醒したような気持ちに浸った。この様な気持ちになるのは本当に珍しく、時々この感覚を求めて寺社に足を運ぶべきと思った。


戸田 芳樹

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