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宇治平等院を観賞する

2018.02.04

大阪を代表するランドスケープアーキテクト:長谷川弘直氏の偲ぶ会に参加した。長谷川氏は20代で独立、(株)都市環境ランドスケープを発足し、長い間幅広く活躍され多くの作品を残した。会場の綿業倶楽部(本町)は、建築家:渡辺節の設計で国の重要文化財に指定されている名建築である。親しい友人達が集い、和やかでとてもフレンドリーな会であった。

翌日、長谷川氏の作品集の本をリュックに詰め、宇治方面に出掛けた。京都宇治線は昔が感じられる素敵な駅名、観月橋、桃山、六地蔵、黄檗などが続き雅な気持ちに。

宇治駅に下りると構内が土木構造物のようなデザインになっており、たじろいでしまう。日本の代表的な世界遺産の駅とは思えない空間で(なぜ木材を使わないのか)がっかりしたが、気を取り直して駅前広場へ。宇治橋を渡り、門前町を通り入口方面に進む。入口は意外と何気なく、鳳凰堂の側面に向かいアプローチする事となる。斜めからの鳳凰堂との出会いは美しいの一言。正面から見ても絶対的な美しいプロポーションが洲浜や池のデザインにマッチして至福の時が過ごせる(もっとも観光客が多くてうるさいが)。阿弥陀如来を納めた建物以外はバランスを取る為の装飾建築で、平安時代だからここまで徹底したデザインが出来たのであろうか。

建物内部に入るがスリッパがないので足元が寒い。冬の京都への観賞旅行には暖かい靴下が必須アイテムである。阿弥陀如来を中心とした内部空間は圧巻で、上方に吸い込まれそうな感覚は言葉で表現できない。当時の極彩色を想像すると貴人達が腰を抜かしたのではないかと思えるほどの幸せな空間を作り上げている。

当時はこの建物は西方浄土へ向かって、つまり西向きに建てられていると昔から思っていたのだが、その反対で建物の背後が西であった。池を隔てた対面の東側から建物越しに西方浄土を拝んだのであろうか、美しい夕日のシルエットが想像できる。

敷地内にある資料館へ。鳳凰堂の近くの南側に資料館は位置しているが、まったく建築の存在をまわりから感じさせない作りは建築家:栗生明の哲学の表現であろう。建物の上部は植栽で覆われ、2階はガラスのファサードとし、計画の巧みさが地上レベルからの見えがかりを無くしている。プレイスメディアのランドスケープは建築にも、無論鳳凰堂にも邪魔をせずシンプルで静謐な空間作りに徹している。建築に寄り添うディテールは若きランドスケープアーキテクトの手本となるだろう。

やはり京都はすごい所で、この境内には見事な石造美術があった。最勝寺の六角春日燈籠は六尺を超える大振りなもので、プロポーションも細工も良い。竿には滋賀県によく見られる珠文帯がついており、堂々とした風格で、今まで見た中で最高のひとつである。さらに浄土院には鎌倉時代の十三重の層塔も立派に奉られていた。

戸田 芳樹

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