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新宿中央公園を見る-2

2017.03.24

■公園を歩いてみる
新宿中央公園は大きく北と南のエリアに区分けされており、まず北エリアから見て行く事にした。北エリアの園路は曲がりくねっており、直線の部分はなく、歩きながら視線が少しずつ変わる。その体験は楽しいが、歩いている方向性や園路のヒエラルキーが整理されていないので、時々自分が公園のどこに居るのか分からなくなり不安を感じる。園路の幅員は広い所で7~8mあるが、私の感覚ではもっと狭い方が良いと思うのだが。空間の種類にもよるが、私は公園の園路は最大4m出来れば3m程が良いと思っている。園路を狭くすることでもっと植栽地が近くなり、植物の花々等とふれ合うべきだと思うのだがいかがであろうか。

北エリアには、水の広場・芝生の広場・健康の森・区民の森・ビオトープ・ランチコーナー・スポーツコーナー等があるが各々がバラバラに存在し繋がりが感じられない。各々の時代における要請をひとつずつ拾い上げた結果、だんだんと現在のかたちになったのであろうと推察する。

超高層時代を迎えた新宿西口のシンボルとしての公園のコンセプトがなんだったのか、現状からは読み解くことが大変難しい。新宿中央公園は一体何なのか、いや何だったのか、反芻しながら歩いていると富士見台に出会った。ここは公園の最高所(標高45m)となり、淀橋浄水場時代の六角堂が堂々と建っている。やっと意味が分かるものに出会い、生物に出会った様なホッとした気持ちとなる。

山を下ると最近設けられたランチコーナーがあり、たまたま何かのクラブの人達が昼食をとっており、公園のひとつの賑わいとし、心の和む風景を見る事が出来た。

園内の建築は環境学習施設「エコギャラリー新宿」や「熊野神社」、大規模で立派な「新宿中央公園管理事務所」等の施設があるが、各々詰め込んだ感じにしか見えない、建築のサイトプランの段階にランドスケープアーキテクトが参加して公園計画をしたのであろうかと疑問に思った。

■南エリアは明快な機能空間
あまり語る材料もないまま南エリアに。このエリアは機能により明解に分けられており、西ブロックは子供の遊び場、東ブロックはフットサル等の運動施設となっている。土曜日の午後であったが子供連れが楽しく利用していた。人研ぎの滑り台が大人気なのはどの公園でも共通だ。

周辺に住む外国の人達も多く多国籍な賑わいが新宿らしさを醸し出している。冬なので「ジャブジャブ池」は中止していたが、規模も大きく暖かくなれば子供達の歓声でうまるであろう。新宿中央公園の大きなケヤキの下で遊んでいる子供達は樹木に覆われ守られている、その記憶を持ち続けられれば幸せである。都市の真ん中で、遊具で遊びながらこの様な体験が出来る公園をもっと増やしたいと願う。

■エピローグ
この公園を設計したのは1965年頃であろう。公園設計のまさに黎明期で、ランドスケープアーキテクトを名乗る人は少なかった。今は亡き京央造園設計事務所(小形研三社長)の設計で、番頭であった稲垣氏が担当したらしいと漏れ聞いたことがある。若くして責任を任され、この様な大規模公園を苦労して作り出したのは大変な努力だったのであろう。順調に伸びたケヤキの大きさがこの50年の歳月を物語っている。建設後の公園が様々な政治、経済の要素で変化することは社会的必然であろう。しかし、当初立てたコンセプトや公園のシステムが変化したとはいえ、現状で見えて来ないのは残念であった。公園の空間や施設が変化し続ける中で、いつまでも主体性を持ち続け、長く市民に愛される公園作りをしていきたいものである。

戸田 芳樹

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