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新宿中央公園を見る-1

2017.03.24

■プロローグ
今までの作品探訪は庭園的な空間が多かったので、今回は都市に存在する都市公園にトライアルすべく、新宿中央公園におもむいた。JR新宿駅から徒歩10分、大江戸線都庁前から徒歩0分の便利な立地。この公園の見所は都市の象徴の超高層ビルと大きく育ったケヤキの緑、自然との対比と思った通り、落葉時の今は見事に各々が主張していた。無機的な建物に風で揺らぐ有機的な樹木群は公園を利用している人々にどの様な精神的な影響を与えているのだろうと思いながらの探索は意外に楽しいものであった。

この公園は都市の真ん中にありながら8.8haと大規模。都立公園として1968年(昭和43年)に開園し、1975年新宿区に移管されている。様々な機能の施設が公園内に配置され、いかにも都市公園らしく「幕の内弁当」化しているのが特徴と言える。戦後、東京の都心でこれだけまとまった広さの公園計画は東京オリンピック(1964年)の時に作られた駒沢公園が耳目を集めたが、新宿中央公園も貴重な例と言える。

■新宿駅からのアプローチ
JP新宿駅の西口から歩いて行ってみよう。西口地下広場から公園まで地下通路をひたすら歩く。一時期、浮浪者の溜まり場で臭くて汚い場所のイメージがあったが、関係者の努力で大変きれいになった。しかしまだ圧迫感があり鬱陶しく、早く通り過ぎたいと誰もが思うであろう。ここは一般的に見れば土木空間であるが、柱、天井等に建築的意匠を施して頑張っている。しかし空間の構造そのものからして快適な状況を作りあげるには限界がありそうだ。そこで光を地下に入れ、地上との関係を図るとか地下から樹木が地上に突き出すとかして上下の繋がりを作り空間を変化させる方法が考えられる。しかしながら道路構造などの法律の壁が待ち受け実現の可能性は低いだろう。

トンネルを抜けると爽やかで気持ちの良い空間に出会う。枝を大きく伸ばしたケヤキ並木が今までの陰気な気分を吹き飛ばし、正面の新宿中央公園まで視線を誘導してくれる。公園の正面にある水の広場は周りより低く前面道路と同じレベルで、西口からの軸線をどっしりと受けている。この正面の「水の広場」は新宿中央公園のランドマークであり、意匠的にも最も力を入れた空間である。壮大な壁泉は「新宿ナイアガラの滝」と称されているが、大きさの割にはインパクトがあまり感じられない。なぜなのだろう。

そのひとつの理由は滝が孤立化している事であろう。滝が単独で存在しておりむき出しの様に見え、広場との空間的な関連性が薄れている。手前にファニチャーや樹木を配すれば、空間の繋がりと奥行きが現れ、見る角度によって様々に変化する景観が作れたのに残念だ。また滝の落水による風の出現を上手く捉えれば、樹木の枝先がそよぎ、変化のある姿が見られたであろう。広場に樹木を入れると狭くなると言う意見をよく聞くが、実際には深みが出て広く感じるものである。

もうひとつの理由は滝が屏風の様に見え、自然らしい景観になっていない事である。水を落とすのであれば背後を高くしなければ不自然である。また広場での落水であれば四方向、少なくとも二方向から水が見えなければ落水の効果が出にくい。ここでデザインされた一面からの落水ではどっちつかずに感じる。また、池に積んだ丸石の質感やデザインがあまりに周囲と違うのもしっくりこない原因のひとつである。

しかし「水の広場」はイベントには絶好の場として機能しており、訪ねた時に開かれていたバザーも多くの人々が楽しんでいる様子が見えた。夏にはビヤガーデンとなり、昼休みにはテーブルベンチを提供して昼食スペースとして活用されているそうだ。多様的な公園活用の秀れた事例として参考にしたい。

戸田 芳樹

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