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ウィーンの近郊 ライディングで講演しました

2015.03.21

3月21日オーストリアウィーン近郊のライディングという小さなまちでランドスケープに関する講演会を行った。ライディングは周囲をブドウ畑に囲まれた静かなまちで、ピアニストとしても有名な作曲家リストの生誕地として知られている。まちの中心にあるリストを記念したホールは、春、秋2回音楽祭を催し、ヨーロッパ中から多くの人々を集めている。今回、音楽祭に合わせ、ホールを使用して日本の文化、庭園、ランドスケープを話す事が出来た。

講演会のきっかけはウィーン出身で日本との関わりの深い、オーストリア人のローランド・ハーゲンバーグ氏と私との長年の友情からだ。氏はライディングの静かなたたずまいと住民のおおらかな性格がとても気に入り、住民の生活と共存しながら芸術と出会える夢の「まちづくり」を提案。そして私財を提供し、仲間と共に「アートプロジェクト」を立ち上げ、関係深い日本の建築家達の参加を求め着々と計画は進んでいる。

まず一昨年、藤森 照信氏が「コウノトリ ハウス」と命名した記念館ロッジを完成させた。この建物はコウノトリの巣のベースとなる塔を持つが、さっそくコウノトリが営巣し子育てまで完全にしたそうである。今年2月には原広司氏のシェルターが完成し、夏にはロッジも完成の予定である。その後、青木淳、隈研吾も参加の予定と聞いている。私もランドスケープアーキテクトとして何らかの作品でまちに貢献したいと考えているが、今回の講演会はそのスタートプロジェクトとして今後の進展を図りたい。

さて、私の講演の内容はシェーンブルン宮殿にまつわる日本庭園の話しから始めた。私は友人達と宮殿内にひっそりと眠っていた1913年作庭の日本庭園を発見して修復し、その庭園の両側に新たな枯山水と茶庭を作り1999年春に農業大臣を招待してお披露目した。

その後15年、日本庭園の充分な説明をする機会も少なく、日本庭園文化の理解度も不足しているので、この講演で少しでも多くの人々の理解を求めようと開催したのである。その為には基礎的な日本庭園の哲学と美学も必要で、自然石や水と庭園との関わりを主題として歴史的経緯も含めて説明した。また日本庭園にある様々な要素や装置と、それの見方も具体的な写真や図により解説した。その上で、私の作品のベースに宿る日本美の感覚やデザインを多くの写真で紹介した。

造園家も参加したがアートや建築関係者が多く、日本文化の本質的な意見交換が出来た。西欧人にとって、人間の意思で加工しない自然石の使い方や、白砂の敷かれた平面的表現や色彩感覚等が当人の文化やセンスと大きく離れており、その不思議さが議論の的となった。

今後もこの様なレクチャーを行い、ローランド氏の「アートプロジェクト」に参加し、まちづくりの宝石となるようなランドスケープの作品を作りたいと願っている。

写真はレクチャーの様子、藤森氏の建物の前、丁度前日が日食でローランドと太陽を見ているところである。

戸田 芳樹

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