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第2回全国造園技能競技大会 in長野 −2/3

2012.10.26

さて、内容を見て行きたい。このコンクールのような小さなスケールのモデル庭園において、実体のスケールで作るか、縮小のスケールで作るかで作品には大きな差異が生まれる。今回参加した13チームのうち12チームがテーマを縮景した表現で、1チームだけが実体のスケールであった。縮景では作者の意図をストレートに出せるが、ひとつ間違えると模型のように見えたり、一人よがりな感じの庭園になってしまう。また実体スケールでは小さなスペースにおける表現なので窮屈な空間になるか、どこかの庭園を切り取ってきた様になってしまう。各チームは創造性と造園技術を要してこれらの課題を解決しなければならない。

縮景については作庭家の郷土の風景や、自らの思い出の風景などを作品化したものがほとんどであった。錦帯橋、御神渡り、北アルプス、天竜川などのテーマは分かり易く、庭園としての表現も違和感がなかった。しかし風景以外、例えば物語や音楽などをテーマとした展開があればもっとユニークな作品ができたのではないかと思えた。

作品のレベルは高く、どの庭園も金賞にしたいのだが決めなければならないので5人の審査員はかなり悩み、議論を重ねたのは事実である。そして以下の基準をベースとして採点を重ね入賞者を選んだ。
1.コンセプトを庭園がしっかりと表現していたか。
2.そのチーム独自の表現や技術を表現していたか。
3.細かな所まで技術によってきっちりと表現していたか。
4.人の心をつかむような魅力的な庭園であったか。

その結果選ばれた入賞者の作品について述べて行きたい。

金賞 しまなみのそよ風  西風紅葉(広島県)

瀬戸内海の海の風景を島のスカイラインや大橋で表現したもので、島並を背後の竹垣により、大橋をレンガと鉄平石を用いて表現している。

この作品はとてもバランスの良い作品と言える。インパクトには欠けるところもあるが、日本の庭園技術をていねいに表現し、さりげない植栽の扱い方など、全体的にたおやかなセンスが感じられ作者の思いが伝わってくる。作庭途中においてもカーブを描いた竹垣がとても優雅に見え、小さな石組みが表現した島々の入り江にはなぜか生活感が見え、日頃から接している風景に対するオマージュが心をとらえる。このような無理がなくバランスの良い作品が現在の日本で求められている庭園の姿ではないかと、審査員は議論し結果として金賞を授与したのである。チーム西風紅葉の藤井幸介氏(風林造園)と伊藤竜太氏(西条庭園)の50代と20代のお二人には心よりお祝い申し上げたい。

戸田 芳樹

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