[本文はここから]

台北国際ランドスケープワークショップ

2012.10.11

もうかなり旧聞に属するが7月25日から31日まで台湾の台北で参加したワークショップについて述べたい。台北市では2016年に「世界デザイン会議」を開催する予定で、そのプレイベントとして今回のワークショップは行われた。

対象地は台北市のシンボルである陽明山のふもとで、古くから温泉による観光に人気があり市民に親しまれたエリアである。

ワークショップに参加した国は日本、韓国、イタリア、オーストラリア、台湾の学生達、総勢40~50名ほどの規模であった。陽明山は台北市内北部に位置し、市内から数十分の距離にある。この地は日本の統治時代における開発、蒋介石時代の夏の離宮の設置、米軍による宿舎の建設など、歴史に翻弄されてきた台湾の象徴的なエリアといえる。

ここは観光地として人気スポットでありながら、そのニーズを受け止める総合的な計画が今までされてなく、今回学生達の新しい発想を市政府は望んでいた。その課題にイタリアのドムス国際建築学院は「米軍宿舎跡地」を、韓国の高麗大学は蒋介石の離宮に連なる「陽明山公園」を、早稲田大学は日本庭園の残る「前山公園」と桃源郷のような「竹子湖エリア」を、シドニー大学は陽明山入り口にあたる中国古典庭園「双渓公園」を、台湾文化大学は孫文を記念して作られた「中山楼エリア」周辺をそれぞれ分担した。

3日間しか作業時間がなく不安を残しての発表であったが、さすが各国ともやる気十分、最終日のプレゼンテーションは質の高いものになった。イタリアチームは建築の改修と骨格となるランドスケープの論理的な提案であった。説明のかしこにヨーロッパにおける自国の正統派性のような論説がちりばめられており、誇り高きローマの意識の残像が感じられた。高麗大学は地形と施設の関係性の読み違いがあり、指摘するとすぐに対応して爽やかなサイクリング道路の提案となった。早稲田大学の「竹子湖エリア」の計画ではフィジカルなデザインではなく、彼らが滞在した時に経験するだろう風景を時系列の流れに沿って、新しく組み直した案を提出した。シドニー大学は古典的な庭園を現代都市の公園ネットワークに組み込み、近接する河川との係わり合いを大胆に提案した。台湾グループは苦戦していた。原因は市政府のマスタープランを事前に入手して読み込んだため、それにとらわれていたようだ。政府の策定する計画は妥協の産物となり易く、今回はそれを打ち破る為に学生の少々乱暴な案を期待されていたのではないかと、少し残念であった。

今回のワークショップは台北市が予算を組み、大学と協力して世界から学生を集め今日的な、具体的な問題を検討したものである。このような国際的な熱い催しが日本でも可能でないのかと考えながら台湾を後にした。

戸田 芳樹

[ここからはカテゴリ内ナビゲーション]

NEWS

  • 株式会社 戸田芳樹風景計画
  • 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-36-1ミユキビル3F  Telephone:03-3320-8601 / Facsimile:03-3320-8610
  • COPYRIGHT © Yoshiki Toda Landscape & Architect Co.,Ltd. All Rights Reserved.