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昭和記念公園を訪れる

2012.04.29

4月29日「昭和の日」に昭和記念公園を訪れた。当日入場無料なので入場者が多く、公園外部にまで賑わいが感じられた。立川側から入り少し進むと、伊藤邦衛氏設計のカスケードが最初に現れる。このエリアは立川基地の飛行コースに当たるので、両側のイチョウ並木の頭部は伐採され、プロポーションが悪い異様な景観となっている。一方カスケード部は水面、舗装、壁面のバランス、テクスチャー、色彩が程良いバランスを保ち、ディテールに到るまで心配りが感じられ、さすがと思わせるものがあった。この頃(30年前)までは日本の造園界にもディテールがあったのだと、しみじみ感じながら歩を進めた。最奥部にある噴水はブロンズの具象彫刻がランドマークとしてあり、今ではまず使わないであろう「少女像」が昭和の懐かしさとノスタルジーを感じさせてくれた。

今日のお目当て「渓流広場」に急いだ。広場は大ケヤキのある「みんなの原っぱ」に続いて1983年にアーバンデザインコンサルタントに協力して当社が設計したものである。「春の小川」の歌詞に出てくるような、ぽかぽかと光が注ぐ空間をイメージしてデザインした。しかし25年の歳月は樹木を驚くほど大きく生長させ、緑の濃い水辺空間に変身していた。

4月、この水辺にチューリップやムラサキハナナを群植し、来場者を楽しませている。今回初めてタイミングが合い開花時に訪ねられ、花の演出を写真に収める事ができた。大勢の来場者は花に接近して写したり、人物を入れたり楽しんでいたが、風景全体をとらえている人はほとんど見られなかった。外国の方も多く訪れ笑顔満載であったが、少々マナーの悪さも気になった。このチューリップイベントはオランダのキュー・ケンホフ公園を参考にしたデザインであろう。全面チューリップに見えるが、視覚の角度を調整して、30%の花のスペースで視野全体が咲いているように見せているそうだ。

花が綺麗なのは公園デザインの骨格がしっかり出来ているからで見栄えも良いのだと、自己満足的評価をして日本庭園のエリアに向かって歩を進めた。

何度も来ている日本庭園だが建築物が本当に上手い、金もかけているが。手仕事の玄妙さと大空間に対峙する建築のきりりとした意匠は、手練れの建築士のなせる技であろう。もちろん橋のデザインも見るべきものがある。

細部を良く見ると、建築側で使っている石造美術は質が高く、高価であることに対して、
庭園側のものは安っぽい。いかがな予算配分だったのか首をひねるばかりである。

当日、隣の盆栽園も含めて多くの人々がゆったりと自分の時間を楽しんでいた。現代人がやっと日本の伝統的空間に身を置き、違和感を持たず日常生活を静かに楽しむ時代がやって来たのだと実感できる一日であった。

戸田 芳樹

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