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源兵衛川を歩く―2

2012.02.19

第5ゾーン(水と文化) 「三島梅花藻の里」から「佐野美術館」に続く、芸術・文化と水のかかわりを体感するゾーンである。以前、ここで営業していた日本旅館の庭園を再度活用した、美しい曲水と燈籠等の庭園施設が他のゾーンと違った雰囲気を演出している。また、水の流れが嫋やかであるのが鳥に気に入られているのか、カワセミをはじめとしてハクセキレイ、キセキレイ、メジロ等と出会える。カワセミは人気が高く、気に入った写真を撮ろうと愛好家が多く集まり、撮影場所を規制していたほどであったと伺った。

このあたりで「グランドワーク三島」の村上茂之氏と合流し、色々と説明を受けた。グランドワーク(GW)は1980年初頭に英国で始まった、市民・NPO・企業・行政とのパートナーシップによる、身近な環境改善を進める実践的な活動である。1992年市内8つの市民団体が中心になり「GW三島実行委員会」を発足させ今日まで活発に活動しており、源兵衛川が美しい状態で保たれている。 

第6ゾーン(水と暮らし) ここでは川に住宅地が接近しており、外部にあふれ出た生活空間と川とが微妙に共生している。以前、住宅は川に対して背を向けていたが、今は川に顔を向け窓辺に花鉢を置き、何気ない中にも豊かな生活が感じられる空間となっている。

この地には三島桜が岸辺に植えられ春には見事な花を咲かせ、水中のミシマバイカモとともに市民に親しまれている。

第7ゾーン(水と農業) 元々源兵衛川は農業用水路として作られたものであるが、現在ではその機能は低下している。ここは次の中郷温水池への移行区間であるが、市街地と農村地帯の接続点として、人と自然、都市と農村のかかわりを感じるゾーンとされている。

パンフレットに見られる、子供たちが水辺で遊んでいる夏の写真が好もしい。

第8ゾーン(水と生命) 稲作のために湧水を温める目的で作られた「中郷温水池」は野鳥観察や人々の憩いの場として市民に親しまれている。計画前は垂直のコンクリート護岸で囲まれ、樹木もほとんどない殺伐とした風景であった。今ではハンノキが10m 以上に繁り、緩やかな護岸は美しい芝生でおおわれている。池を周回する園路はことのほか気持ち良く、清々しい空気を胸一杯に吸い込み、遠路の疲れを癒した。

池の南端部からは水面に浮かぶ富士山が出現し(当日は山の先端部しか見えなかった)、源兵衛川の散策の最後のクライマックスとして、見事な演出だと感嘆した。

3人で期せず出た言葉は「このルートの空間体験は日本庭園だよね」であった。いくつかの日本庭園を体験すると、そこには歴史、文化を表現した物語があり、次々と変化に富んだシークエンスが隠されている事に気づく。源兵衛川は日本庭園を大胆に拡張し、まちの風景まで飲み込んだダイナミックで繊細な空間と時間を私達に提供してくれた。

皆様もぜひ一度三島を体験してください。

戸田 芳樹

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