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源兵衛川を歩く-1

2012.02.19

続いて樂寿園を源とする源兵衛川を散策した。

「水の都・三島」の清流のシンボルである源兵衛川は、中郷温水池までの全長1.5kmの農業用水路である。古くから灌漑用水路として使われ、美しい水辺空間が保たれていた。しかし30年代中頃から豊富だった水量が減少し、家庭雑排水の流入やごみの放置などにより、
水辺環境も悪化して汚れた川となってしまった。

そこで、故郷の美しい風景を取り戻そうと熱き市民たちの活動が始まった。JLF運営委員の地福さんも活動メンバーの一員として、行政、企業、地域住民、専門家でパートナーシップを組み立て、平成2年(1990年)から事業を進めた。エコロジーアップを基本コンセプトとして、8ゾーンからなる親水空間と諸施設が整備された。
今回、地福由紀、野村勘治、戸田芳樹の3人で粛々と源兵衛川に歩を進め、放談しながらの逍遙を楽しんだ。

第1ゾーン(水の誕生)の樂寿園から第2ゾーン(水の散歩道)の入り口にはデザインを凝らした可愛い公衆トイレがあり、源兵衛川のスタート地点の目印となっている。ここからは川の中にあるデッキと飛び石(空隙率の高いコンクリート製でろ過機能を持つ)で構成された散歩道を水に落ちないよう、気をつけながら歩いた。低い視点で川に接する歩行は、空気の良さと水の冷気が相まって健康度満点の空間体験と思われた。

第3ゾーン(川との思い出) 三島広小路駅の街なかを貫き、三石神社の「時の鐘」伊豆箱根鉄
道の高架下を通る変化に富んだ散歩道が続く。川道から見上げると侘しい「ヘルス銀座」の看板の脇を電車がすり抜ける、シュールな風景を自然あふれる川が包みこむ意外性のある場とも出会えた。また、川の上空をまたぐ水路があり、珍しい水と水の立体交差が見られるのも一興であった。

第4ゾーン(水との出会い)低いアーチ状の橋に当たらないように頭を下げて通過すると、5月上旬に蛍が乱舞する自生池があり、地域住民が大事に育成管理しているようだ。また、ホトケドジョウの生息環境の再生活動も行なっているなど自然度の高いゾーンである。

このあたり、どうも歩くスピードが速くなっている事に気付いた。上流に比べ、せかせか歩いているように感じる。地福さんに聞くと上流と違う人がデザインを担当したそうだ。デザインは上流を踏襲しているので、一見同じ様なのだが何かが違うのである。

よく観察してみると、飛び石が高くて不安定に感じるし、デザインが幾何学的で揺らぎがない。まるで人や車を早く通す事が目的の一般道路のような作りだ。その結果、歩行に不安を感じるから足早になってしまうのであろうか。

そして一連の空間を過ぎた後、振り返ってみると風景が美しくない。歩いている時は足元に気をとられ、デザインに目が届かなかったのであろう。日本庭園鑑賞の原則「振り返ってみる」見返りの風景の重要性を改めて証明された次第である。

戸田 芳樹

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