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オフィス空間のランドスケープ −8/9

2011.04.28

□千代田飯田町アイガーデン

六本木ヒルズと同じ年(2003年)に完成した、物語性が高いランドスケープ作品を紹介してみたい。
千代田飯田町アイガーデンは「働く、住まう、集う、憩う」が調和する「環境創造型の高層複合都市」として、JRの貨物ヤードや倉庫約5haを再開発した計画である。
地権者等関係者10社でアイ・ガーデン・エア・タウンマネジメント協議会を設立して街づくりをスタートした。

ランドスケープを担当したのは当時、日建設計にいた平賀達也(現・ランドスケーププラス)である。日建設計も協議会のメンバーであり、毎週の様に自分たちが今後使っていく空間の議論を繰り返した。
この組織は完成後も残り、今後の管理、運営に携わっていると聞いたが、ランドスケープ空間において理想的な展開がそこに見られる。

コンセプトは「歴史の系」「緑の系」「水の系」の3つの系の具現化であり、物語性に基づいた空間を表現する事にあった。

「歴史の系」 江戸時代の計画地は大名屋敷であり、そこに使われていた護岸を園路脇の石積みとして再現したり、明治時代の甲武鉄道の起点としての象徴を線路で表現すると共に、夜間には線路を模した2本の光を立ち上げ未来へのつながりも表現している。

「緑の系」 周辺の小石川後楽園と皇居の緑を連携した豊かな自然空間を創出し生態コリドーの一担の役割を荷っている。

「水の系」 周辺には神田川、日本橋川、外堀等、豊かな水の系が今も記憶に留めている。生活と密接に関わる水が人々のふれあいのきっかけとなる様、水系施設を設け、光や季節による変化を演出している。

この計画はランドスケープデザインを組み立てる上で重要な要素のふたつを上手く組み合わせている。
ひとつは、周辺とのネットワークの中で、自然を強化して地域を結びつけ、計画地だけのデザインではなく都市の問題に対して積極的な役割を提案している点である。
ふたつ目は、歴史や文化の文脈を読み込み、物語性のあふれる空間とシークエンスを作り出している点である。
一見では分からないこれらの仕掛けがランドスケープデザインを永続的にその土地に根付かす有効な方法であり、今後の計画の手本となる事例であろう。


戸田 芳樹

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