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オフィス空間のランドスケープ −7/9

2011.04.25

□六本木ヒルズは万華鏡

2000年代になると、大きな都市開発プロジェクトが続いた。それを訪ねながら、そこで築き上げられたランドスケープの現状と未来を考えていきたいと思う。

まず2003年に華々しく街開きした六本木ヒルズを見てみよう。
森ビルが長年、近隣と話し合い続けた大規模な再開発が実現したもので、長期間のスケジュールと複雑な土地利用で組み立てられた事業である。
この計画は公共が行う開発とは違い、社長であり都市プロデューサーである森稔氏の個性が前面に出た、創造への意欲やこだわりを現実のものとした破格のプロジェクトである。
森氏は「職住近隣の街を作らないと、これからの国際的な都市間競争に勝てない」というテーマを掲げた。そして都市に自然を作り、人々のコミュニケーションを回復させようと考えた。

故に、ランドスケープは重要なキーワードとなり、日本で最も有能なランドスケープアーキテクトである佐々木葉二を選び、この複雑なプロジェクトをスタートさせた。
大規模で複合的な計画はコラボレーションが重要である事をお互い熟知した上で作業は進められた。
結果として、海外の建築事務所やアーティスト達とのコミュニケーションの結晶ともいえるランドスケープデザインを計画地の様々な場所で、困難な情勢を越えて実現した。

計画のメニューは、伝統的な日本庭園からハーブガーデン、農地である田んぼ、彫刻やアートファニチャーのスペース等、多岐にわたる空間が求められた。
この万華鏡の様に配置された施設を物語りでつなぎ、一体となった空間に作り上げたのはランドスケープの力である。又、地形の変化も大きく、公共用地も抱えており、高度な技術と努力が必要なプロジェクトであった。

計画地上部の最も重要な広場のポイントにママンという巨大なモニュメント(ルイース・ブルジョア作)が置かれている。
ここにたたずむと、アートが発するオーラが時間と空間を支配し、このプロジェクトの持つ時代の勢いと、新しい時代の到来を感じる事が出来る。

ただ、森氏の思い入れとアイディアの豊富さが、思い付きと見られる様な空間も生み出し、ひとつの作品としての収斂性に乏しい事は否めない。
しかし、21世紀を切り開き世界に向けて発信したランドスケープデザインとして後世まで記憶に残る作品である。


戸田 芳樹

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