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オフィス空間のランドスケープ −6/9

2011.04.21

□アート導入による街づくり

1990年代に入ると、アート作品を単体ではなく、一定のコンセプトの元で業務空間に導入するプロジェクトが見られ始めた。
ファーレ立川(1994年竣工)は約5.9haの計画地に様々なアートを展開した先駆的な街づくりの事例である。

「新しい文化を立川に築く」をテーマに、アートディレクター北川フラムを選定し、アートのある街づくりを進めた。
「経済都市づくり」の1980年代から1990年の「精神的豊かさの時代」に移行する中における答えのひとつがアートのある街づくりであった。

コンセプトのひとつ「驚きと発見の街」は歴史や固有性に乏しい新しくできた無機的な街に、人間的な所産であるアートの参加で街に表情を与え、人々に親しみを持たせたいとしている。
しかし、完成したファーレ立川に何度となく足を運んでみたが、何か物足りなさを感じ、しみじみとした感動のない自分がいた。
第一印象としての「驚きと発見」はあるのだが、心の中ではその持続がなく、各々のアートとコミュニケーションが図れない。私は、この街づくりにおいてはランドスケープデザインをしていない事が感動を感じられない大きな原因ではないかと思った。

ランドスケープデザインの重要なコンセプトである「各々の空間や施設のコミュニケーションをうながす」「その土地の歴史、文化の文脈を再構成する。」「本物により近い自然を再現する」がこの空間では感じられない。
いくらコンセプトが魅力的であっても、それを実現する力が必要で、その具体的な表現能力を持つランドスケープデザインの技術を活用すれば言語と空間を一致する事が出来るであろうに、残念な結果である。

戸田 芳樹

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