[本文はここから]

カンボジアに行ってきました−6

2011.09.11

現地を視察後、私達はエコビレッジが計画される元となった世界遺産プレアビヒア寺院へ向かいました。
9世紀にクメール王朝により建設されたヒンドゥー教の寺院です。
プレアビヒアはカンボジア語ですが、同じ意味合いでプラーサート・プラウィハーンと言うタイ語の名前も有しています。
これはこの寺院がタイとカンボジアの国境際に建立され、長い間どちらの国に帰属するのか曖昧な状態が続いたからです。
1962年に正式にカンボジアへの帰属が国際的に認められましたが、国境付近には未だに領土問題が残り今でも緊張状態は続いています。
カンボジアの観光代名詞でもあるアンコールワットは12世紀に建立された世界遺産です。
砂岩の建物は風雨による浸食で、元々あったであろう装飾も今は随分と鈍くなっています。
そこよりも遙か昔に建てられたプレアビヒア寺院は考古学的にも美術的にも価値が高いと聞きました。
まだカンボジア側からのアクセスが整っていないので他の遺跡群程観光客は訪れてはいないようですが、タイからのアクセスも可能(現在は閉じられている)なので、必ず集客の期待できる資産でもあります。

切り立った断崖の上に立つ寺院は訪れるものを荘厳な気持ちにし、俗世では感じることの出来ない神聖な時間を過ごすことが出来ます。
宮崎駿監督の名作「天空の城ラピュタ」のモデルになった場所と言う話もあります。
タイの国境から500m程階段状の参道を登り、そこから5つの門をくぐって本殿に到達するのが本来の参拝の姿なのでしょうが、生憎の天気で足場が悪いため私達は軍の車で本殿まで案内して頂きました。
本殿までの道路の脇にはカンボジア兵が寝泊まりする掘っ立て小屋が連なり、重苦しい空気感がありました。
兵士の案内で寺院の突先まで行き、眼下にエコビレッジの対象地を望みました。
突先はまさに天空です。観光地としてはそれほど開発されていないため安全柵のようなものは一切ありません。
生と死がリアルに身に迫る場所です。
それ故の神聖でもありました。突先は大きな岩盤です。その岩の下に瞑想空間があります。
この寺院で最も大切な場所です。お香代を備えてしばらく手を合わせましたが、何も頭に浮かぶものはありませんでした。

寺院はカンボジアとタイの紛争で痛く傷ついていました。
傷跡はまだ新しいものが多かったです。何処までを修復し、何処までを歴史として保存するのか私にはわかりませんが、これ以上傷を増やしてはいけないと強く感じました。

大橋 幸雄

[ここからはカテゴリ内ナビゲーション]

NEWS

  • 株式会社 戸田芳樹風景計画
  • 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-36-1ミユキビル3F  Telephone:03-3320-8601 / Facsimile:03-3320-8610
  • COPYRIGHT © Yoshiki Toda Landscape & Architect Co.,Ltd. All Rights Reserved.