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三陸海岸調査(第7回学生デザインワークショップ)

2011.08.06

今回で7回目を迎える、日本造園学会関東支部主催の学生デザインワークショップ「サマースタジオ」。
昨年に続き、学生をサポートするチューターの一人として、熱意ある学生達と議論を交わしています。

今年度のサマースタジオは、先の震災に基づいた『大震災・スケール・時間-Emerging Ground』がメインテーマであり、地歴の異なる5つのエリアを対象地として、千年確率とも言われる大震災に対して如何に向き合うべきなのか、それぞれの都市形成における新たな大地のイメージを提示することが目的となっています。
私は5つの対象地の中のリアス式海岸を受け持つことになり、学生達と共に震災から5ヶ月を迎えようとしている岩手県の三陸海岸で調査を行うことになりました。

調査の当日、先に現地入りしているメンバーと馬の産地で有名な遠野駅で合流した後、青空が広がる北上の山間を抜け、最初の調査地である大槌町へと向かいました。
大槌町に入り、海へと向かう途中、川沿いに点在する集落はただただ穏やかに時が流れており、その風景は後に眼下に広がる惨状を全く予感させないほど、本当に美しいものでした。

しかし、十数分後、一同が言葉を失う瞬間が訪れました。死者と不明者が人口の1割を上回った大槌町の市街地が目に飛び込んで来たのです。
以前の街の姿を知らなくとも容易に想像できるくらいの喪失感。
あまりにも人の息づかいが感じられない町並み。
不気味なほどの静寂の中で町中に響きわたる重機の作業音。
時折風に乗って鼻をつく異様な臭い。
「やはりメディアの情報では伝わらない。体中で感じなければいけない。」と強く感じた瞬間でした。

破壊し尽くされた大槌町の市街地を回り、その後は隣接する釜石市や山田町にも足を伸ばしました。
いくつかの都市の調査を通じて分かったことは、同じ三陸海岸の都市でも震災の被害の重度や状況が全く異なるということです。
津波の被害を受けた沿岸部を一概に津波で被災した都市として片付けることはできませんし、仮初めの復興をしてはいけないと思います。
早急な復旧はあっても、尚早な復興はあってはならない。
東北で真の復興を遂げるには、その土地の風土と地歴を重んじるランドスケープアーキテクトの力がやはり必要不可欠であると確信しました。

調査を終えて、改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、現地で発見できたことを基に、今回のデザインワークショップで良い成果をまとめて、被災した地で今を必死に生き抜く方々の為に少しでも力になれるよう力を尽くしたいと思います。

石井 博史

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