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公園における園芸空間の実践-2

2011.06.25

続いて「東品川海上公園の屋上庭園」を奥先生の案内で見学した。
場所は「りんかい線天王洲アイル駅」より徒歩15分。ポンプ場の屋上庭園の入り口は少しわかりにくいが、エレベータを使い3階屋上に着いた。
大きな期待をしていなかったが、そこには驚くような別世界が私たちを迎えてくれた。

その空間には屋上とは思えない広がりの緑に、決め細やかな園芸の花々が周囲を取り囲み、何とも幸せにさせてくれる空気感があった。
空間デザインはシンプルな構成だが、植物の持っている生きる力が花を通じて訴えかけてくる。
ひとつ、ひとつはもちろん綺麗だが、個と全体のバランスが良く、作り手のさりげない工夫と実力が見えてくる。

庭園は色彩による5つのガーデンと、オーナメンタル グラスガーデン、ローズ・コニファーガーデンなどで構成されている。


・パステルカラーガーデンはブルーからピンク、ホワイトに流れるグラデーションの花(エリカ、ロシアンセージ、ダリア、バイカウツギ)
・レッドガーデンは赤い花と実のなる木を中心とした個性的な植栽(ジューンベリー、へメロカリス、サルビア)
・イエローガーデンは目に鮮やかな黄色の花(キングサリ、ダイヤーズカモミール、ジャーマンアイリス)
・シルバーリーフ・ホワイトガーデンは白い花をベースにシルバーやシルバーブルーの葉を持つ草花と花木の組み合わせ(ユーカリ、フェイジョア、ラベンダー、パンパスグラス、ブルーグラス)
・ブラックガーデンは茶、黒を中心に黒に近い紫、赤の葉や花の組み合わせ(ヤグルマギク、ダリア、ユリ、ニューサイラン、ヒューケラ)
・オーナメンタル グラスガーデンは風にそよぐイネ科の仲間と宿根草をふんだんに使う(イトススキ、ギンキツネ、ルドベキア、ダリア)
・ローズ・コニファーガーデンはバラの花壇に葉の色が美しいコニファーを植え、クレマチスの花も添える(バラ、スカイロケット、コロラドハイビャクシン、クレマチス)


その他、ブッドレアのコレクション、車椅子用のレイズドベッド等、見どころ満載であるが、場所柄なのか利用者が少なく少々残念であった。

奥先生が管理のすべてをコントロールしているが、その方法はとても植物的である。その時々の気候や植物の状態に合わせて大枠の予算の中から花を購入しており、年間計画の中で種類や数量を固定しないとの事であった。

役所的に考えれば最初に内容と予算を決めるのが筋であろうが、現場においてはそんなに上手く行かず苦労している人も多いと思う。
この方法は見方を変えれば、ガーデンの満足度で評価するわけだから、20世紀型の資本主義経済理論を飛び越え、感性を加えた新しい判断基準を加えた経済理論と言えるのではないだろうか。
この方法でもう数年も上手く続いており、ここでは問題が発生してないようだ。

このようなシステムが身近なところで機能している事に、大変勇気をもらい、愉快な気持ちになってガーデンを後にした。


奥峰子先生ご教授いただきましてありがとうございました。

戸田 芳樹

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