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尾道市 林芙美子記念広場

2011.06.26

6月26日、故郷尾道の同窓会で帰郷した折に、2009年10月に竣工した県立尾道東高等学校の入り口広場を久しぶりに訪れた。
この高校は女学校時代、文豪林芙美子が在籍していた事で知られる地方の名門高校である。

2009年が創立100周年に当たり、その記念事業として林芙美子文学記念碑の周りの広場を整備する事となり、私とのかかわりができた。
広場には門扉も付ける計画なので、鍛鉄作家の小峰貴芳氏とのコラボレーションで進める事とした。
氏とは諏訪湖畔公園、川越駅東口広場で大規模なコラボレーションを成功させており、安心して組む事ができた。

記念広場は石碑を中央にして記念撮影ができるよう階段を設け、ひとクラス程のスペースを「想い出の場」としてしつらえた。
石碑は芙美子の住居に向けて設け、足元には海浜をイメージした玉石を敷きならべ、手すりは打ち寄せる波をイメージしてデザインした。

東の瑠璃山、西の愛宕山、二つの山間にある高校のロケーションをヒントに、門柱は夫々の山を象徴的な形として表現し、繁れる黒松の濃い緑を色彩として引用した。

扉は校歌や校章にも使われている鶴を正面に表現したダイナミックな図案とした。
尾道の海は細長く緩やかに曲線を描いており、鶴の首のように見えることから「鶴湾」と名づけられ、高校のシンボルマークとなった訳である。
この鶴のデザインを中心に、周囲は瀬戸内海のさざなみを模した、流れるようなデザインとし、色は深いブルーとした。これだけ大きな扉になると二分割しても重く、動かすのは男子生徒の役割と期待したいものである。

鍛鉄の小峰氏の腕は確かで、今後100年は持ちそうなデザインと仕上がりとなったが、尾道の石工も負けてない技術を発揮してくれた。
門扉を入れた為、石積みを移動し再度組み直したが、その精度が素晴らしく高く、職人芸を久し振りに見せていただいた。

完成して2年近く経ったせいか、周囲の植物も落ち着き、アガパンサスやアジサイが彩りを添えていた。
学生達には3年間四季折々の自然と文学の香りをこの広場で感じて生長し、社会を目指してもらいたいと感じた。

戸田 芳樹

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