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新しい上海事務所

2017.03.03

2016年5月上海事務所は新しいオフィスに引っ越した。10ヶ月があっという間に過ぎたので、馴染んできたオフィスの風景を紹介したい。

オフィスは上海中心部である長寧区の愚園路に立地し、四階建ての洋風別荘の三階にある。1911年に建てられた建物は地下鉄2号線江蘇路駅から徒歩5分、周辺には歴史的な雰囲気が残り、その上とても便利なところにある。一方、初めて来る人にとっては道に迷いそうな街でもある。なぜなら、上海の横町に相当する「弄堂」は、先端が見えないほど細長いものが多い。特にオフィスの所在地である愚園路749弄は、道路が思いがけない場所にまで延びている。オフィスはそれほど深く隠れてはいないが、案内者がいないと「住宅群にオフィス?」という疑問を持ってしまい、探すのに時間が掛かるようだ。

外部から見れば塀が高く、ゲートが黒く閉じられているが、中は400㎡のガーデンが付いている別荘風住宅である。素朴なガーデンだが、オフィスの窓越しにエンジュや芝生を眺め、休憩時間にガーデンでのんびりし、気分転換に屋上テラスでコーヒーを飲むなど、居心地はとても良い。

別荘は延べ床面積が約800㎡、28部屋に分けたオフィス棟として使われている。百年以上経た別荘の昔を探ってみたいが、大家さんもそれほど詳しくないようだ。
愚園路は1930年前後に建てられた洋館や高級別荘が百棟以上集中し、2003年から上海にある12ヶ所の「歴史文化風貌保護区」の一つになっている。沿革が不明になった建築が多いそうだが、興味を持って愚園路を調べてみた。愚園路は静安寺から西に進むと江蘇路と交差し、中山公園までの東西の路である。この路は静安区と長寧区の昔は租界であった地区を横切り、「上海越界築路地域」と言われたそうである。租界に隣接していたため、上流人が集まる場として、各種様式の高級別荘が建てられ、弄堂と併存して町並みが形成された。現在、高級別荘の大部分は集合住宅になっているが、上海事務所が所在する別荘のように、建築の外観を保ちながらオフィスや商業施設に改造されることが盛んである。

私は上海出身で子供の頃ずっと弄堂に暮らしていた。弄堂に愛着を持っているが、生活上で不便なことがほんとに多く、立ち退き政策による弄堂の取り壊しも、市民のより良い生活のためとなり、時代の進歩にも繋がると思っている。しかし、保護地域に囲まれ、立ち退き政策に無縁になってしまい、不便な生活が続いている人もまだ存在する。保護と利用の両立には時間と知恵が必要で、上海事務所の様な別荘であれば両立する可能性があり、とても良い方法だと思った。

黄 妍

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