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西塘エクスカーション

2011.11.04

スタッフの高沖です。
私は今夏より長期出張として中国に滞在し、上海事務所を拠点に活動しております。
今後中国と日本を行き来しながら、中国でのプロジェクトに対してこれまで以上に密度の高い計画・設計・監理業務の遂行を目指す所存です。
また、ランドスケープだけでなく様々な文化に触れて知見を広め、それを業務へとフィードバックしていくことも一つの目標であります。
そういった活動の様子を、「上海事務所便り」と銘打って不定期ながら皆様にお伝えしていこうと思います。

先週末、上海事務所の現地スタッフらと共に「西塘(Xitang)」という水郷古鎮へ一泊二日の小旅行へ出掛けました。
江南地方には古い街並みを残した水郷の村が数多く残り、そのうちのいくつかは観光地としての整備が進んでいます。
その中でも、六大水郷古鎮の一つである西塘は上海より西へ約90km、バスで2時間弱の所にあります。
私は観ておりませんが、映画「ミッションインポッシブル3」のロケ地となったこともあり、以来観光客が増えて整備も進んだそうです。とは言っても、素朴な雰囲気をまだまだ十分に残した魅力的な街でありました。

一行は金曜日の午後に出発。夕方に到着し、さっそく街を歩いてみました。
日が暮れて夜の帳が下り始めると共に店先や軒下に掲げられた提灯が点り、賑わいの中にもどこか郷愁を誘う風情が醸し出されます。
また、水郷風景の定番とも言える石造の太鼓橋。半円形の橋脚は水面に映り込むときれいな正円を描きますが、その橋脚がライトアップされると夜は光のリングが浮かび上がるのです。
派手なものが求められがちの中国ですが、西塘の光の演出は落ち着きと暖かみのある非常に心地よいものだったと思います。

外は時折雨が降っておりましたが、水路沿いに設けられた「廊棚」はその雨をしのいでくれます。
「廊棚」とは、街を訪れた商人や旅人が雨に濡れないために造られたものです。西塘には「煙雨長廊」という全長1kmに及ぶ廊棚が残っており、それが西塘の特徴の一つでもあるそうです。
長い年月を超え、世界中から訪れるようになった旅行者は、今も先人の心遣いに恩恵を授かっているという訳です。

水路際の造りは大きく2タイプ。
前述したように建物がセットバックして通路を敷いたものと、建物が直接水路に接したもの。後者の場合はたいがい水路を臨むようにテラスがあり、そこではお茶や食事を楽しんだり、ゆったりとくつろいだりという姿が見られました。
私達も川辺を望むテラス席のあるレストランで夕食をいただき、その風景の一部となってきました。

翌日も引き続き街を散策。街の中にはいくつかの博物館や邸宅、庭園などが公開されており、それらを巡ることとしました。
江南瓦、梁や格子窓の木彫装飾の展示を見ると、住宅の細部にまで趣向を凝らした暮らしの様子が伺えます。そこに手間をかけて豊かな空間を創造しようとする中国人の気概のようなものを感じました。

邸宅内に残る庭園も見学をしました。
四合院の中庭や奇岩による築山など知識として既にあるのですが、実際に現地を訪れてその空気に触れるとまた印象が変わります。
湿度が高い上に湿気のこもりやすい建築様式なので、恐らく植栽は添景として最小限に留めたのでしょう。
室内の椅子に腰掛けて中庭を眺めると、建築と植栽のコントラストは何とも言えない心の安らぎを覚えます。
また、邸宅内の緑が高い外壁を超えて路地にも顔をのぞかせたりしますが、それが白漆喰の壁といぶし瓦によるモノトーンの組み合わせにアクセントを与えており、路地の景観を構成する上でも貴重な役割を担っているのだなと思いました。

散策の途中に水辺のテラスで休憩をしていると、手こぎ舟で鵜飼の漁師がやってきました。
あらかじめ仕掛けられた網にかかった魚を鵜が水面へ引き上げて、それを漁師が回収するという手順でした。
後で調べたところ、日本で行われている鵜飼漁はそもそも中国の江南地方から伝わったそうです。
何とも思いがけないシーンに遭遇しつつ、水郷古鎮の魅力を存分に満喫した私達は再びバスに乗り込んで西塘の街を後にしました。

高沖 哉

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